ホスト 神
どちらとも無く二人で笑ったが、俺の目は彼女の笑顔を捉えて離さなかった。


その瞬間、俺の中で本当に雷が落ちたような音がした。なんて笑顔が可愛い子なんだろう…何時まで見ていても飽きない。



名前は少し後で陽子と知ったのだが、太陽の子供のように優しく、春の日差しのように柔らかな笑顔に、俺は一発で恋に落ちた。



名前と番号を教えてもらってから、俺は毎日デートに誘い出し、一週間後に告白したら、陽子は恥ずかしそうに頷いてくれて、目出度くカップルになった。



陽子は美容専門学校の二年生で、両親と二つ下の弟の四人家族。小さな会社を経営しているという父親は教育に厳しく、二十歳の陽子に門限は九時と決めているらしい。母親はそれに輪をかけた教育ママだとか…出来ればお目にかかりたくはない。



弟の方はまだ高校生という事もあり、陽子と二人で街で遊んでいる時に何度か会った。進学校に通っている生徒が俺の事を知っていたのには吃驚したが、それよりも吃驚していたのは弟君の方だったらしく、変な敬語と俺とは絶対に視線を合わさないのは、何度会っても直らなかった。



それでも俺の陽子への気持ちは、付き合って行く時間に比例して次第に大きくなっていった。





俺の大事な大事な宝物…陽子。
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