ホスト 神
タマちゃんはそう言って、俺の前に左手の甲見せた。



左手の薬指には、小さなダイヤモンドが付いている指輪が填めてあった。



「え?タマちゃん結婚するの?」



タマちゃんは少し頬を膨らませて、俺を見つめてくる。



「ちょっと神君、驚きすぎ何じゃないの?」



俺は少し笑い、目の前で両手を合わせて謝った。


「じゃあ薔薇一本と、そこにあるブライダルベール十本頂戴。」



タマちゃんは、慣れた手つきで薔薇を一本レジに置き、レジ横のテーブルでブライダルベールを花束にしていく。



俺は真っ赤な薔薇と、カスミソウのような白い花が、賑やかに咲いているブライダルベールを受け取り、薔薇一本だけを手元に残してブライダルベールの花束をタマちゃんに渡した。



「これはタマちゃんにプレゼント。幸せになってね。」



タマちゃんのありがとうと言う言葉を、いつまでも背中に受けながら[華園]を出た。
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