ホスト 神
首筋から胸の谷間まで見える佐和ママの肌は、とても五十代という年齢を感じさせないくらい白く透明感があり、体を透き通ってガウンの裏が見えてしまいそうだった。



もうシャワーを浴びた後のようで、アップにした遅れ髪から雫が滴っている。



「ねぇ神。貴男は私が[fly]で見てきたナンバー1の中でも、群を抜いて華があるわ。誰の物にもならないという意志を持った強い視線。それでも皆を平等に愛す気配り。貴男の綺麗な瞳の奥は、私でも覗く事は出来なかった。それが私を貴男に執着させた理由よ。」



俺は褒められすぎて恥ずかしくなり、ロングコートを脱ぐ為、一旦イスを立ち上がった。



その瞬間、佐和ママが抱き付いてきた。



俺はそっと佐和ママの腰に手を回す。



「こんなおばさんを、初恋に焦がれる少女のような気持ちにさせた罪は深いわよ。」


そう言うと佐和ママは、少し踵を上げてグロスを塗った艶やかな唇を、俺の唇に合わせ舌を絡ませてきた。



…ゆっくりと互いの舌を重ね、上に下に二人で一つの作品を創るかのように。


どちらの唾液か解らなくなり、お互いの口の中で中和された頃には、ロマネの注がれたワイングラスに、一輪の薔薇が生けられていた…。
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