ホスト 神
やはり寒い時期は感傷的になるらしい…。



そう言えば、明日は美月さんの誕生日だ。花屋の代表取締役に花をプレゼントをするのもどうかと思うが、気の利いたプレゼントはハルさんが用意してるだろう。



そう思い、通り過ぎた[華園]の前に戻った。



「タマちゃんおはよう。」



店には四人ほどの従業員がいたが、皆不思議な顔で俺を見つめてくる。



そっか、タマちゃんは昨日で辞めたんだったっけ…まいったな。



俺が[華園]に来たのは、片手で数えられるくらいしかない。タマちゃんは愛嬌のある顔で、よく話しかけてきてくれたので、他の従業員の事はよく知らなかった。



少し気まずい店内をそのまま出る訳にも行かず、さっさと切り上げて店を出ようと、興味のない振りをして店内を足早に歩く。



だが、店の右奥で俺の足は止まった。



そこには銀色の傘立てくらいあるバケツに、数えられるほどの向日葵が生けてあった。
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