ホスト 神
その時、自動ドアの方から冷たい空気が駆け抜けたので、誰かが入ってきたと気付いた。



「すいませーん。頼んだの出来て…。」



ブーツの床を叩くような足音と声が、俺の直ぐ後ろまで迫ってきて途切れたので、俺は顔だけ振り返った。




その瞬間…開きかけていた闇の中の箱が、音を立てて閉じた。




「…陽子…か?」





「やっぱり…神君。」




二人の間の空間だけ、時の流れから置いていかれた。




「あの…すいません。包装終わりましたけど。」



さっきの女性定員が、俺と陽子の顔を交互に見比べながら聞いてきた。



「そちらのお客様のも出来てますよ。」
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