ホスト 神
ハルさんと美月さんは、少し目で会話してから話し出した。



「神、お前ウチを辞めた後の事を考えてるか?」


俺は曖昧に頷き、スーツの内ポケットからタバコを取り出して火を付けた。



「実はね神君。来年の夏に[fly]二号店を出そうと思ってるの。場所はもう探してて、来年の春から工事に入る予定なのよ。」



…最近にしては随分景気のいい話だ。後一ヶ月で[fly]を辞める俺でも、体が弾むように嬉しくなる。



「それでね。二号店の代表は神君になってもらいたいと思ってるの。」





え?




テーブルの真ん中にあるクリスタルの灰皿に、灰を落としたままの形で俺の体は硬直した。



「どうだ神?悪い話じゃないだろう?まだやりたいことが見つかってないんなら、俺からも頼む。」
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