ホスト 神
「…喜恵ちゃん。」



…と言う事は…これは彼氏?



俺より10センチ程小さい、まだ幼さの残る男の顔を、力の入らない顔で眺めた。



そうだよな…彼氏ぐらいいるよな。



今まで黙っていた男が動いたのは確認できたが、喜恵の顔に見とれていて動けなかった。



「バカヤロー何やってんだ!」



男の方を見ると、さっきボイジャーを運転していたスキンヘッドが、男を押さえ込んでいた。



どうやら俺は殴られる所だったらしい…今の心境なら、殴られても良かったけど…。



「すいません!今の内に行って下さい。」



スキンヘッドにそう言われたので、喜恵の手を引っ張って歩き出した。



…何やってんだか俺は…。



少し歩いて喜恵の顔を見ると、声を出さずに静かに泣いていた。


左の頬の下は、薄っすらと赤くなっている。
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