ホスト 神
…何も反論できなくて胸が痛い。



確かに人を殴れば傷害罪に暴行罪、殺す何て言えば恐喝罪、俺やジュンがキャッチ狩りをやってたのだって、立派な強盗傷害罪だ。



家族がそれを反対するのも分かる。だが、そんな事をいちいち言っていたら、この世は犯罪しかなくなってしまうのではないのか…まぁ、そんな俺の考えなど今はどうでもいいが。



「で…喜恵ちゃんはどうしたいの?」



喜恵は俺を真っ直ぐに見つめてくる。こういう時に、女性は強いなと思う。



「神って人に会って、弟を…透をチームに入れないで下さいってお願いするつもりです。私も分からなくはないんです…そういうのに憧れる時期だっていうのが。でも…透とは年が離れてるのもあって…姉の目線と母親の目線で見てしまうんです…。」



俺はテーブルに置いていたタバコをとって、カルティエのライターで火を付けた。



「喜恵ちゃん、その神って人は引退してるんじゃないかな?引退した人間は、現役には何も言えないよ…現役には現役の人間を纏める奴がいるんだ。」



俺の言葉に、喜恵は落胆の色を隠せなかった。
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