ホスト 神
ウケるけど此処は我慢だ!さっきの電話の仕返しに騙してやろう。



「実は…絡まれてるんだよね…道歩いてたら、いきなり怖そうなお兄ちゃん達に因縁付けられてさぁ〜…。」



信太郎は隣で更に不思議そうな顔で俺を見ていた。



「マジでっ!?…分かった…。」



信太郎に電話を切った後ニコッと笑いかける…大体の奴なら此処で逃げる。それか警察に一報入れて終わり。



そんな事を思いながら、タバコをふかして信太郎と他愛もない話しをしていたら……ん?なんか入り口の方が騒がしいな…誰か歩いてくる…。んん?目を細くしてよく見てみると……………あっ!!由美だ!!



周りからは様々な罵声や嘲笑が由美に向けられていた。


「止めろ!俺の連れだ。」



俺と由美の間に一筋の道と、柄の悪い人垣が出来た。



由美が小さなボストンバックに手を入れながら、ゆっくりと此方に向かって歩いてくる。



よく由美の顔を見ると、その大きな瞳に涙を溜めて、肩は小刻みに震えていた。
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