ホスト 神
蓮さんは俺がナンバー3になった一ヶ月後に[fly]を辞め、その後で俺は繰り上げでナンバー2になったんだ。



蓮さんも龍一と同じく、客の一人と結婚して店を辞めた。



今は無認可営業の、保育園の園長をしている。お水の女性の中には、子持ちの人もたくさんいる。早く言えば、お水の女性御用達の夜の保育園…営業許可なんて下りるはずがない。ちなみに奥さんは、二階の[JUNO]でママをしている。名前は結乃さん。



「で?どうしたんだ?」


蓮さんには、俺が悩んでいるのが透けて見えるらしい。俺は二号店の代表の事と、名前は出さなかったが、喜恵に惹かれている事を蓮さんに話した。



「今じゃ立派に[fly]のナンバー1を務めているお前に、個人的な相談をされて俺も鼻が高いよ。」



そう言うと蓮さんは、両手を少し曲げて腰に手を置いた…こういうおどけた所は、園長になってから覚えたんだろうな。



頭を抱えてしゃがみ込んだ俺を見て、蓮さんは口から笑い声を漏らした。



「お前は昔から重大な事はあっさりと決断するくせに、簡単な事に頭を悩ませる癖があるよな。俺に言わせれば答は簡単だ。」



救いを求めるような顔で蓮さんを見上げた。



…蓮さんには、俺も中にいる子供達と同じように見えているのだろうか…。
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