ホスト 神
「…こうなるのが分かってたって…じゃあ、何で何も言ってくれなかったんですか!」



ようやく答えが出たのか…今時こんな処理能力の遅いウィンドウズなんて、ゴミ捨て場にも落ちて無い。



喜恵には悪いが、随分過保護に育てたようだ。



「透がホストなんてちょろいって言ったんだろう。そんな風に慢心してるから、お客様の質問一つ答えられないんだ。もう樹里のテーブルには戻れないし、他のテーブルに入っても迷惑だから、キャッシャーの脇にでも立ってフロアを眺めてろ。」



それだけ言い残し、俺は樹里のテーブルに戻った。



透はフロアの隅から俺を睨みつけている。



「神さん…ナナエさんが枝を連れて来店されました。」



(枝。指名客が連れてきた新規の客。指名客は幹。)



義人に耳打ちされて、樹里をヘルプに任せ、不機嫌な透を連れてナナエのテーブルへ向かう。



樹里に説明したように、ナナエにも透を紹介すると、透は二十歳と自分を紹介した。



ナナエが連れてきた枝はアリサと言うらしく、ナナエのキャバ仲間らしいけど少し気が強そう。



10分程何事も無く会話し、ナナエをヘルプの哲太に任せ、一旦樹里のテーブルに戻る。



問題は、俺が樹里のテーブルに戻った五分後に起こった。
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