ホスト 神
「神さんちょっと来て下さい、体入の奴が哲太と…。」



樹里の席で和やかに会話を楽しんでいると、血相を変えた義人が飛んできた。



義人に促されてナナエのテーブルに戻ると、哲太と透が掴み合っている。



義人の手を借りて、暴れる二人を事務所に連れて行った。



哲太の話しを聞くと、俺がテーブルを抜けた後、透がアリサの年齢を聞き、強引にボトルを入れさせようとしたしたらしい。



「それでも、お客様の前でする事じゃないぞ哲太。」



哲太は反省した面持ちで俺に頭を下げ、事務所を出て行った。



さて…おそらく俺を見返そうとした結果が、知らず知らずの内にオラオラ営業に近い形となってしまったんだろう。



（オラオラ営業。その名の通り強引な営業。）



路上のナンパなら年齢を聞くのはいいかもしれないが、基本的にホストクラブでは、相手が言ってくるまで聞いてはいけない。



「年齢、職業、宗教の話しは禁止なんだ。知らなかったから仕方無いが、次から気をつけろよ。話しに困ったら酒を飲ませてもらえ。」



それだけ言って口を尖らせている透を残し、ナナエのテーブルに顔を出しに行った。
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