ホスト 神
「ご馳走様。何か悪いね…こないだなんて、大した物作ってないのに。せめてものお詫びに送らせて。」



「これから出勤じゃないんですか?」



腕に付けた時計は二時。今日は午後から行くと言ってるから、まだ大丈夫。



それから…寒いからか、自然と手を繋いでパーキングまで二人で歩いた。



喜恵と話してると、楽しくて時間が過ぎるのが早い…仕事サボっちゃおうかな?なんて頭の中で悪魔が囁きかけたので、天使と悪魔の戦争が始まった。



こう見えても一応社会人なので、天使が勝ったらしい。



全然嬉しくない天使の勝利を感じつつ、喜恵を車に乗せて少しドライブへ。



「あの…初めて会った時から気になってたんですけど、彼女居るんですか?」



俺が不思議な顔をして喜恵の方を見ると、喜恵は俺が左手の薬指に付けているリングを指さした。


これは昔から付けている。俺にとって、左手の薬指はそれほど重大な意味を感じられないだけなんだ。
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