ホスト 神
「あ、もしもし?今って大丈夫かな?」



「大丈夫ですよ。家でゴロゴロしてるだけですから。」



しばらく他愛のない会話を交わし、喜恵の家の前で少し会う事になった。



急いで準備をする俺…すぐ遠くに行ってしまうと分かっていても、心の中では喜恵の事が好きなんだ。



…もしかしたら、これで最後の恋と思っているかもしれない。



俺にそう思わせるぐらい、喜恵の存在は大きくなっていた。



「久しぶりですね。明日の夜でお仕事終わりなのに、私と会ってて大丈夫なんですか?」



着いたと喜恵にメールしてから、二分も経たずに俺の車に乗り込んできた。



「大丈夫だよ。する事はもう無いし。喜恵はあと三日で出発でしょ?荷物とかはもう纏めたの?」



外から見れば、前途洋々なカップルに見えるだろうが、二人は離ればなれになる話しをしている。



無理に明るく…顔で笑って心で泣いて…。




二人の未来に待っているのは…別れという二文字のみ。
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