ホスト 神
俺はくわえていたタバコの存在も忘れて叫んだ。


「違う!!」



タバコは俺の口から落ち、静かに俺のデニムを焦がす…そんな俺の気も知らず、由美が薄く笑いながら答えた。



「彼女でーす♪」



「だから違う!!」



「えっ?違うの?俺てっきり彼女だと思ってたんだけど!」
「いや、俺も」
「俺も気になってたんだけど、違うの?」
「誰か聞いてくれないかな〜って思ってたんだよ。ハヤト偉いっ!」





ったく此奴等そんな事考えてのかよ…大体それでコソコソ話してるつもりか!丸聞こえだよ!!



「だから彼女だって!彼女の由美でーす♪宜しくね♪」



もう駄目だ…こんなんじゃ何時まで経っても埒が明かない。



「だから違うって!もう良い…俺帰るわ。」



そう言って俺はタバコを手に持って立ち上がった…未だ周りからは冷やかしの声が飛んでいる。



俺は冷やかしている奴の顔を、一人ずつ冷ややかに見つめていく。



一人ずつ静かになったのを確認し、俺の爪先は公園の入り口に方向を向いた。


「ちょっと待ってよ〜!」



由美が俺の所に走ってきた…また冷やかしの声が聞こえてきたので、俺は振り返った。



皆黙る。



俺は歩き出す。



また冷やかしの声が聞こえてきたが、もう気にする事を止めて入り口に向かった。
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