ホスト 神
マンション前でタクシーを捕まえ、軽やかに乗り込む。



「[カリブ]へ」



「分かりました。」



[カリブ]は、去年オープンしたシーフードの店で、味もそんなに悪く無いし店内も広々としている。



だがそんな事より[カリブ]の売りは、個室が多い事とペットの入店がOKな事。



俺のお客の中にもペットを飼っている人が多く、[カリブ]がオープンしてからは、俺の同伴率も二割程上がったんだ。



[カリブ]に着いて店の前で待っていると、樹里がタクシーに乗ってやってきた。



樹里がタクシーを降りる…左肩にディオールの新作のバックを下げ、右手にはミニチュアダックスのアッシュを抱いている。



「御免ね神君!待った?」



俺は樹里の手からアッシュを預かり、アッシュを顔まで抱き上げた。



「待ってないよ。俺も今着いた所だから!久しぶりだな〜アッシュ〜♪」


そう言って額と額を付け、久しぶりの再会を果たしたアッシュと喜びを分かち合う。



「いいなぁ〜樹里もされたぁ〜い♪」



俺はアッシュから目を離し、樹里の方を見てニコッと微笑む。



「じゃ、お腹空いたからご飯食べよ!あれっ?そういえばアッシュ元気じゃない?」



アッシュは元気に、茶色く短い尻尾を左右に振っている。



「なんか暑くてバテてただけだったみたい♪」
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