ばうんてぃ☆はうんど・vol.1〜地中海より愛を込めて《改訂版》
第三章
「マジついてなーい。バッテリー切れたー」
埠頭に入るなり、スケボーを抱えたあかりが、ぶーたれながらやってきた。
タクシーが埠頭に入るところまでは見えていたのだが、あと一歩のところであかりはバッテリー切れ。俺達は運悪く、タクシーのすぐ後ろから始まった謎渋滞に巻き込まれ、あかりの背中を追うのがやっとだった。
辺りはすっかり夜の闇。この状態でマルケスを捜し出すのは骨が折れそうだ。
「もぉ疲れたー。足痛ーい。歩きたくなーい。二人で捜してきてー」
スケボーの上に座り込んで駄々をこねる。完全にやる気をなくした子供だ。
「俺達の方がよっぽど疲れてるわい。昼からずっと動きっぱなしで。お前は前半、パエリアとアイス食ってジュース飲んでただけだろうが。文句言ってないで一緒に捜せ」
「あたしだって番号調べたり、基地局探したりしたぢゃん」
「指動かしてただけだろ。なんか気が付いたら、俺達昼飯も食ってなくね? てかぜってー食ってないよこれ。やばいよこれ。低血糖おこしちゃうよ」
本気で空腹が限界にきてたので、重たい足にムチを入れ、マルケスを捜す。少し歩いてから後ろを向くと、あかりもぶつぶつ言いながらも、立ち上がって捜し始めたようだ。
ここはタンカーなどが荷揚げするための埠頭なので、多くの倉庫が建ち並んでいる。
その倉庫と倉庫の間。鍵のかかっていない倉庫の中。照明の当たっていない暗い物陰など、人が隠れられそうな場所を重点的に、念入りに捜す。
ディルクは俺とは反対側。あかりは俺達の向かい側から捜している。
水平線の先で、夜の漁をしている漁船の群れが見える。この時間から出港する船もいるようだ。
やがて、30分ほど捜し回った後――
「てか見つかんないしお腹空いてきたしますます足痛いし、ホントマジキレそうなんだけど……」
ひとまず3人集合して、開口一番があかりのグチだ。
まあ確かに俺もグチりたい気分だ。あかりの気持ちもわからんでもない。
「ヤロー、どこに消えやがった……」
確かにここの埠頭は広い。タンカーをつけるような場所なのだから、当たり前だ。
しかし見通しは良い場所なので、そうそう隠れられるようなポイントもないのだ。3人がかりで捜しまわれば、見つけられそうな気もするのだが……
埠頭に入るなり、スケボーを抱えたあかりが、ぶーたれながらやってきた。
タクシーが埠頭に入るところまでは見えていたのだが、あと一歩のところであかりはバッテリー切れ。俺達は運悪く、タクシーのすぐ後ろから始まった謎渋滞に巻き込まれ、あかりの背中を追うのがやっとだった。
辺りはすっかり夜の闇。この状態でマルケスを捜し出すのは骨が折れそうだ。
「もぉ疲れたー。足痛ーい。歩きたくなーい。二人で捜してきてー」
スケボーの上に座り込んで駄々をこねる。完全にやる気をなくした子供だ。
「俺達の方がよっぽど疲れてるわい。昼からずっと動きっぱなしで。お前は前半、パエリアとアイス食ってジュース飲んでただけだろうが。文句言ってないで一緒に捜せ」
「あたしだって番号調べたり、基地局探したりしたぢゃん」
「指動かしてただけだろ。なんか気が付いたら、俺達昼飯も食ってなくね? てかぜってー食ってないよこれ。やばいよこれ。低血糖おこしちゃうよ」
本気で空腹が限界にきてたので、重たい足にムチを入れ、マルケスを捜す。少し歩いてから後ろを向くと、あかりもぶつぶつ言いながらも、立ち上がって捜し始めたようだ。
ここはタンカーなどが荷揚げするための埠頭なので、多くの倉庫が建ち並んでいる。
その倉庫と倉庫の間。鍵のかかっていない倉庫の中。照明の当たっていない暗い物陰など、人が隠れられそうな場所を重点的に、念入りに捜す。
ディルクは俺とは反対側。あかりは俺達の向かい側から捜している。
水平線の先で、夜の漁をしている漁船の群れが見える。この時間から出港する船もいるようだ。
やがて、30分ほど捜し回った後――
「てか見つかんないしお腹空いてきたしますます足痛いし、ホントマジキレそうなんだけど……」
ひとまず3人集合して、開口一番があかりのグチだ。
まあ確かに俺もグチりたい気分だ。あかりの気持ちもわからんでもない。
「ヤロー、どこに消えやがった……」
確かにここの埠頭は広い。タンカーをつけるような場所なのだから、当たり前だ。
しかし見通しは良い場所なので、そうそう隠れられるようなポイントもないのだ。3人がかりで捜しまわれば、見つけられそうな気もするのだが……