ばうんてぃ☆はうんど・vol.1〜地中海より愛を込めて《改訂版》
「今回の収支を計算してみたんだが」
一気に食欲がなくなった。
あかりは2ピース持ったままフリーズした。
俺は精神力を総動員して、口を開く。
「い、いや、良いよそんなの。なんだか聞きたくないなー、その手の話」
だがディルクは淡々と、
「船とバイクの燃料費。ホテルのフロントに渡したチップ。バーの酒代。9mmパラベラム、20mm弾約1000発、スティンガー1発の弾薬代。船の修理費。その他もろもろで……」
「聞きたくない聞きたくない聞きたくなーい!」
俺は両耳をふさぎ、イヤイヤする。
「もぉヤダ! いつまで続くのさこんなボンビー生活! さくっと金ヅル捕まえてきてよ! 育ち盛りのあたしに十分な栄養与えてよ!」
ばんっ、とテーブル叩き、俺を指差し非難する。
「どやかましいわ居候の分際で! 金が無えっつってんのに、毎日毎日わけのわからんカッコに着替えやがって!
おおそうだ! その服、一着残らずイーベイにでもかけるか。世界のANI-OTAが、いい感じで金落としてくれそうだよな!」
ちなみに今日は、ギターをぶら下げたジョシコーセーのカッコだ。ジャパンで根強い人気のアニメらしい。
「めっちゃサイアク! レディの服売りに出して生活費にしようなんて、マジサイテー!」
「ションベン臭いガキが何言ってやがる! どこがレディだ! レディってのはな、もっとこう、大人の女のことを言うんだ! そう例えば、ジェニファー・アニストンみたいな」
「ただのオバサンぢゃんそれ! キモっ!」
「んだとコラ!」
そんな俺達を尻目にディルクはため息一つついて、空いた皿を片づけ始めた。
大海原に俺とあかりの怒号と罵声が響き渡る。
8月の地中海とその空は、どこまでも青く青く広がっていた。
ガチで。
一気に食欲がなくなった。
あかりは2ピース持ったままフリーズした。
俺は精神力を総動員して、口を開く。
「い、いや、良いよそんなの。なんだか聞きたくないなー、その手の話」
だがディルクは淡々と、
「船とバイクの燃料費。ホテルのフロントに渡したチップ。バーの酒代。9mmパラベラム、20mm弾約1000発、スティンガー1発の弾薬代。船の修理費。その他もろもろで……」
「聞きたくない聞きたくない聞きたくなーい!」
俺は両耳をふさぎ、イヤイヤする。
「もぉヤダ! いつまで続くのさこんなボンビー生活! さくっと金ヅル捕まえてきてよ! 育ち盛りのあたしに十分な栄養与えてよ!」
ばんっ、とテーブル叩き、俺を指差し非難する。
「どやかましいわ居候の分際で! 金が無えっつってんのに、毎日毎日わけのわからんカッコに着替えやがって!
おおそうだ! その服、一着残らずイーベイにでもかけるか。世界のANI-OTAが、いい感じで金落としてくれそうだよな!」
ちなみに今日は、ギターをぶら下げたジョシコーセーのカッコだ。ジャパンで根強い人気のアニメらしい。
「めっちゃサイアク! レディの服売りに出して生活費にしようなんて、マジサイテー!」
「ションベン臭いガキが何言ってやがる! どこがレディだ! レディってのはな、もっとこう、大人の女のことを言うんだ! そう例えば、ジェニファー・アニストンみたいな」
「ただのオバサンぢゃんそれ! キモっ!」
「んだとコラ!」
そんな俺達を尻目にディルクはため息一つついて、空いた皿を片づけ始めた。
大海原に俺とあかりの怒号と罵声が響き渡る。
8月の地中海とその空は、どこまでも青く青く広がっていた。
ガチで。