カップルのおきて【修正中】

「では、今度のﾄﾞﾗﾏの相手役として、うちの笹渕がさせていただきます。」






「いえいえ、こちらこそっ!!!初めてなので、迷惑かけると思いますが…。」









そんな丁寧な挨拶を、ﾏﾈｰｼﾞｬｰ同士が交わしている間、私は笹渕芳樹の顔をじっと見ていた。















「……この人とｷｽ…するのか……。はぁ…。」










その時、笹渕芳樹と目が合って、ﾆｯｺﾘされた。
確かに相手は俳優だし、顔もｶｯｺｲｲとは思うけど…、初ｷｽを好きじゃない人とするのは…やだな。初だけじゃない。これからも、私がｷｽしたいのは…かずだけなのに……。











「藤木さんは、ｷｽｼｰﾝとか初めて??」










「あ、はい。というか、ﾄﾞﾗﾏ自体初めてなんで…。」










「そっか。僕もそんなにﾄﾞﾗﾏ出てるわけじゃないから、まだまだ現場に行くと、緊張するんだよなぁ。いいもの作れるように、一緒に頑張ろうね。」










「…はい。」










私は決して笹渕芳樹に悟られないように、笑顔で返事をしたが、内心…そんな余裕はなく、かずを思い出して、心は罪悪感に満ちていた。