カップルのおきて【修正中】
ドアをそっと開け、窓の外を眺める母さんを見た。
母さんは俺を見て、力なく微笑み、近くへくるよう促した。












「……どうかした??」












「お兄ちゃんが、出ていくの、明日よね。ごめんね、お母さん、こんな状態だから、お見送りは真知子に行かせるわね。」












「えっ!!俺は、もう家からは………。」












「行きなさい。」












母さんが今まで見たことがない顔で、俺を制して言葉を発した。
俺は言葉に詰まった。












「お兄ちゃん、何かやりたいことがあるんでしょう??今しかできないことなんじゃないの??ここで、こんなことで諦めたら…、そこで終わりよ。」












「何かを成就させるには、犠牲が必要なの。犠牲を伴わないものなんて、先が知れてる。お母さんは大丈夫。真知子もお父さんもいる。…安心していきなさい。」












母さんは俺の手を、そっと自分の手で包んだ。その温かさになんともいえない幸福感を感じ、涙しそうになったが、こらえた。











これから辛いことなんてたくさんある。今、涙なんて流してられない。
母さんの想いを、無駄にはしたくない。












俺は準備のため、一旦家に戻った。全てを片付けてしまうために。
< 228 / 257 >

この作品をシェア

pagetop