カップルのおきて【修正中】
直角に曲げた背中で、片手は握手を求めて、プルプル震えていた。
その格好相当キツイだろうが、一度決めたポーズは崩せないのか、プルプルしたまま静止している彼は、なんだか子犬のようでおかしかった。



「あぁ~…、でも百…私、彼氏いるから…。」





自分で言った言葉で自分の心をエグった。



もしかしたら、もう百合の彼氏ではないのかもしれない、そんな考えが頭をかすめる。






「坂本くんですよね?知ってます。でも、今ケンカしてるんでしょ?」




「!!なんで知って…」


「だから…試しにっ…てことじゃダメですか?」



なかなか引き下がらない様子に、半ば諦めが出てきていた。




『どうにでもなれ』


そんな気持ちがなかったとは言わない。





「でも…、やっぱ~…」


「ダメ…ですか?」


健太郎は大きくてまんまるなおめめを、潤ませながら言ってきた。



まるで子犬のような人。
断るに断れないじゃない。



「……いいよ」



「百合っ!?」


「いいじゃない、今まぁくんとギクシャクしてるし、だったら今楽しいほうがいいよ。健太郎くん、明日、どっか遊びに連れてって?」


健太郎は、頬をピンクにそめて、



「はいっ!!分かりました!!やった~ッ!!」


健太郎はスキップをしながら、屋上のドアを開けて、出ていった。

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