カップルのおきて【修正中】
もう……会えない。












そんな想いが私の中をかけまわって、私の動きを鈍くする。何もする気が起きない。
たけ兄は……、もう空港に着いたの…かな??












「真知子。」











「えっ!!??な、なにっ!!??」











「お兄ちゃんの見送り、行かないの??」










私はどきっとした。お母さんの目が私の心を見透かしているようで、つい目をそらしてしまった。












「う、う〜ん…。お母さんの看病もあるし…。」











「こっちは大丈夫だって言ったでしょ??」












「…」












「真知子、人生って一度きりじゃない??死ぬときにね、あ-、あれをしとけばよかった、て思うような人生って凄く悲しいと思わない??」












私はお母さんが言わんとしていることが分かった。だから、敢えてなにも言わなかった。いや…、言う言葉が見つからなかった。お母さんには、私の心がお見通しだったわけだ。












「お母さんなら、後悔したくない。どんな結末になっても、せめて頑張った自分を褒めてあげれるような人間でいたい。真知子は??どう思うの??」











「ごめん……、お母さん。」












私はお母さんの返事を聞き終わる前に、病室を出て、走り出した。
空港は病院から遠くないところにあったのが、幸いであった。
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