カップルのおきて【修正中】
俺は立ち上がり、キャリーバッグをひきながら、搭乗ゲートに向かう。












一歩…、また一歩進むごとに、昔の記憶が消えていくような…、そんな気に侵された。
きっと飛行機に乗るときには、全て忘れて、新しい自分になれる。












それもいいか、そう思った。こんな苦しい気持ちなら…、もういらない。












ピリリッピリリッ












搭乗ゲートぎりぎりで止まり、携帯を開く。











「もしもし??」












「はぁっ…はぁっ…、た、たけ…兄っ。」












「…真知子??」











真知子はひどく息を切らしていた。理由は分からないが、真知子はなかなか俺の中から消えないらしい。











「き、聞いてほしいことが…っ、あ、あるのっ!!!」











「なんだ??」












真知子は息を整えるため、少し間をおく。
その間が俺に緊張を与える。










「猛……。」












すっかり呼吸が整った真知子が、俺の名前を呼ぶ。俺の名前なのに、真知子が呼ぶと、違和感があった。
俺は耳をすまし、真知子の声を聞いていた。
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