海に花、空に指先、地に霞
「……ごめんね、沙杏ちゃん」
それはできないんだ。
…そうゆう手の加え方は…できない。
「君の御両親は……潮に運ばれて…もっともっと沖に、いるよ」
…なんて。
なんて……酷薄な、答え。
でもそれとは真逆に、やさしい声と腕が与えられた。
座り込む私を包むように抱きしめてくれる。
うずくまる私の髪に口唇を落として。
でも魂はちゃんと見送ったよ、と。
「……言葉を、伝えようか?」
王は、巡る魂の最期の声に耳を傾けるんだ、と。
私はようやく、鳴咽を引っ込めて。両手で涙を拭った。…頭を振る。
「…いい……、…いいの…。そんなの…キリがないって…分かってるから」
何を言っても。
どんな言葉でも。
足りることは絶対にないから。
だから、いいの。
私は鼻を啜りあげる。
「…わがままを言って、ごめんなさい…」
少しだけ、笑う。
泣いたことの恥ずかしさを隠すように。