海に花、空に指先、地に霞

「………凪世は正しいよ。やっぱり王様なんだ、って思った」

そういってまた笑う。
…でも森さんが無言のままだから。

私は、ふと、唐突に頭の中に浮かんだメロディを口ずさむ。



 僕が死んで
 来世へ旅立つとき

 次の子どもが生まれる

 この世界を廻すために



短い短い、歌を。
掠れるような声で。

「…それは…?」

「賛美歌かな?よく知らないの。テレビか何かで聞いたのかなぁ、何となくこのフレーズだけよく覚えてる」

今、すごく、あなたたちのしている事みたいって思った。

そう、笑うと。

「お前は…よく、分かっている。この世界の理も、人の理も。我らのことも」

雄大な微笑みを讃えて。
ゆるゆると頭を撫でてくれた。


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