海に花、空に指先、地に霞
…すごい。
美男美女、と言ってしまえばそれまでだけど。
本当に…絵になる二人。
海沿いの夕日に浮かび上がるよう…。
…互いに探り合うように、静かに目線を絡めて。
…見つめ合っている。
「沙杏ちゃん、紹介してくれないの?」
くるり、とどこまでも可憐に私に向き直る梢子ちゃんから目を逸らしながら、ひっそりと息を呑んだ。
…なんとなく…取り残されたように感じて。
「…あ、ウチに…今、居候…してる…」
そこまでいって、ハッと気がつく。
な…なんて言えばいいんだ…?!
まさか、王さまです、とは言えまい!!
「婚約者なんだ」
私の焦りを見抜いたかのように、凪世がさらりと言って笑った。
彼も、完璧な笑顔で。
その言葉に、梢子ちゃんは、黒目がちな大きな瞳を、さらに大きく丸くする。
「え…?…本当? 結婚するの?」
「し、…しない!! 凪世の馬鹿!!」
夕日以上に真っ赤になって、全力で否定する。