海に花、空に指先、地に霞

バッと凪世に向き直る。
思ったより、凪世は硬い顔をしていた。
…私の目線を感じてか、ふぃとそれが和らぐ。
小首を傾げて、私の方を見る。
さらりと流麗に黒髪が揺れて。
夕日を背負って、なお麗しく。
…瞬間、見惚れるような…。

「何?」

「……しょ、梢子ちゃんのこと…気に入ったの?」

「………さぁね」

おずおずと聞くと、凪世がニヤリと妖艶に笑って、誤魔化した。

「…や、やめてよ! と、友達なんだから…! 変なことに、なりたくないし!」

「変なことって?」

「…わかんないけど!!」

「ああ、もしかして、ヤキモチとか?」

「違!! 違う違う違う! そんなんじゃない!!」

首をぶんぶん横に振って、全力で否定する。
違う!
そんなんじゃ、ない!

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