海に花、空に指先、地に霞

その声の大きさと硬さに。
私はみっともなく、体を跳ねさせる。

い、今の…凪世の声……?

今までの思考も何もかも破棄した。
ザワザワした気持ちを抱えて、慌てて部屋のドアを開けると。

怒号が一際強く響いた。

何を考えているんだ、とか。
勝手なことを、とか…。

内容はよくわからないけど。

…とにかく、怒っている。

階段を飛び越えるように降りながら、さらに焦った。

今日もいつものように、賑やかな団欒になると思っていた空間は。
…リビングは険悪な雰囲気で包まれていた。

凪世と天鳥が真っ向から対峙して、怒鳴りあっている。

聞いたことのない凪世の怒声。
見たことのない、天鳥の怒りに満ちた形相。

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