海に花、空に指先、地に霞
「…沙杏。……いいから上行って。あんたには関係ない」
「よ、よくないよ。…ね、どうしたの?」
とにかく何とか宥めようと、天鳥の腕にそっと触れる。
…こんな冷たい声…聞いたことない。
天鳥の腕を抑えるように掴む私を一瞥して、凪世はさらに低く冷たい声を発する。
「関係なくないだろ? アトリ」
「ないね。これはこっちの裁量だ。当然のね。…海の王であるあんたが、空の王たる僕に指図するつもり?」
「…ねぇ! ね、やめて…! 喧嘩しないでよ」
内容はさっぱりだ。
何で喧嘩してるのか、全然わからない。
でもとにかく…。
こんな険悪な雰囲気には、耐えられそうもない…。