海に花、空に指先、地に霞

「や、や、やめて!! やめてやめて!! もう帰って! なんだかもう全然わかんないけど! そこの人も、刃物しまって! それで帰って! 変なことに勝手に人を巻き込まないで!!」

一息で叫ぶ。


そこへ、危惧していた最後の災厄が舞い込んできた。
…非常に明るい声とテンションで。

「こんちはー。アレ、玄関開いてる…。あ、何だ、あんたたちもう来てたの?」

「遅いよ、アトリ」

「ぎゃーーー!! やめて!!来ないで!! 帰って! 」

「ちょっと? 僕、自己紹介もしてないんだけど? ほら、花束! やさしいな~、僕は!はい、ハッピーバースデー! それと、僕との婚約おめでとう!」

「やめてったら!!!」

頭の上に放り投げられた花束。
ひらひら、花びらが落ちて。
ぐるぐる、サイレンが鳴り響く。
ついでに目も回り始める。


……こうして、私は三人の自称・婚約者たちに出会った。
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