海に花、空に指先、地に霞
「天鳥…?」
「……うるさいな」
「…凪世が…何か言ったの?」
「うるさいって!!」
ビクリと、体が揺れた。
思わぬ…硬い声。
強い声。
俄かに怒気を孕んで。
「ど、怒鳴ら…ないで。あんまり…な、慣れてないから…。男の人の、怒った、声。…怖い」
「じゃ、ナギんとこ帰れば!やさしくしてくれるよ!…それともシンに泣き付く?!」
勝手に…こんなところに連れて来たくせに。
なんて理不尽で、無茶苦茶な…。
…でも、いつもみたいに噛み付く気にはなれなかった。
天鳥が…怒っている顔の下に、何だか泣き出しそうな顔を、隠しているような気がして。
私は喉を鳴らして、渇いた唾液を飲み込む。
覚悟を決めるように。
「ここに…いる。一緒に…」
だから…しばらく一緒に…星見よう?
キュッて。
コンクリートの上でキツく握りしめた彼の拳に、手を重ねた。