海に花、空に指先、地に霞
天鳥が…夜に溶けていかないように。
彼は金色の瞳を瞠って、私を凝視した。
それから、重なった手に目線を落として。
…苦く、苦く笑った。
「……馬鹿じゃないの」
「もう!いいから!…ほら!」
無理矢理、手を繋いで。
無理矢理、寝転がる。
…天鳥も、横に並ぶように、渋々寝っ転がった。
眼前にどこまでも高い空。
瞬く春星。
地上のネオンが遥か下方で微かな層のようにたゆたって。
「ね、…星もさ、天鳥の国のもの?」
「…それはちょっとニュアンスが違う」
「ニュアンス?」
「…世界にあるものは、すべて世界のものだよ。誰のものでもない。王家は管理はするけど…所有とは違う」
「わぁ、初めてだ」
「…何」
「天鳥が王様っぽいこというの、初めてじゃない?」
「……馬鹿にしてんの?」
「違うって。でも今まであんまりそうゆう話、しなかったじゃない。何か説明するのって、大体凪世だったし」
「…………ナギ、ね」
おっと…。
まだダメかな……?