海に花、空に指先、地に霞

ああ。
私…どうしちゃったんだろう…。
さっきまで、すごくすごく温かい寂しい気持ちだったのに。
なのに、とても幸せだったのに。

でも言葉が自然と出てくる。
惰性のように。

「………帰って…」

「ソレ、頑張るね。…でももう諦めたら?」

重たい頭を抱えながら、さらに脱力しながら、体を起こす。

ふふ…。
なんだか笑えてくる。
夢のほうが、現実的で、
現実のほうが、夢みたいだ。

相変わらず、彼らは、私の家の中に居た。

現実のほうに。

向かいのソファには、だらしなく座った、柔らかな金髪、白皙の肌の男。……女の子、みたいだ。でもTシャツと黒のレザーパンツを着ている骨格は、紛れもなく男の子だ…。

「あの…すみません……。話、聞きますから……」

だから帰って。
勝手に家に入り込まないで。

「そ? じゃ、話ちゃうね」

そういって、横から冷たいグラスを渡された。
アイスティー……。
ああ、勝手に戸棚やら冷蔵庫やらまで…漁られた…。

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