海に花、空に指先、地に霞

グラスを受け取りながら、そういえば、と思う。

もう一人…。
さっきの…手の持ち主は…。
そっとリビングの中を確認すると、ソファの背後に……ちゃんと居た。

じっくりと腕を組んだ、隻眼の男が…。
私の斜め後ろに、護衛でもするかのように、立っていた。

よいしょ、と凪世が私の真横に腰を下ろす。

「えっと、まずオレが海の王ね。何度もいうけど、凪世」

黒くて長めの髪をゆったりと束ねて、人に痴漢行為を働いた挙句、キッチンまで漁った男。

「我は地の王…。森」

王様というよりは、護衛官のように、静かにたたずむ男。

「で、僕が空の王さまで、天鳥」

開放感たっぷりな雰囲気で、一際若く、同世代のように思える少年。

ナギセにシンに、アトリ…。

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