海に花、空に指先、地に霞
「オレたちは、海、地、空を、それぞれに支配する王。…というか、管理者みたいなもんかな。3者で世界を構成するから、どこかが抜きん出てもいけないし、どこかが脱落してもいけない。均衡を保たなければならない」
「…へぇ……」
滔々と語る、凪世の声を聞き流して、私は適当すぎるほど適当に相槌を打つ。
「ま、各王家の役割はまたの機会にするとしても。大事なのはここから。100年に一度、地上の花嫁を迎えて、人間の血を混ぜなくちゃいけないのが、王家のしきたりでね」
「…へぇ………」
聞くだけだ、
聞くだけ……!
「でも、コレに関しちゃ、争ってOKなの。でさ、沙杏ちゃん、誰がいい?」
にっこりと笑顔を作った凪世に、真横から顔を覗き込まれた。
反射的に、仰け反る。
「…はいぃ?」
「君が選んでくれないと、これから花嫁争奪戦になるんだけど」
「僕にしとけば? 一応、それなりに大事にしてあげるよ?」
「…我が元へ……。花嫁殿」
ジリ…と、三人から身を寄せられる。