海に花、空に指先、地に霞

確かに…悔しいけど、すごくすごく悔しいけど!
ドイツもコイツも……カッコいい。

凪世は、丁寧にやさしいし、しっとりとした色気のある男って感じ(しかし、セクハラ、許すまじ)。

森さんは、男らしくて渋くてオトナって感じで、すごく頼れそう。

天鳥は、明るくて少年らしさがたっぷりで、でもモデルみたいに綺麗…というか、かわいらしい。

でも、でも…。
私は真っ青になって、誰からも距離を取る。

「…あ……あの、他、あたってもらえませんか? このとおり、私は一般人ですし…」

「うん。それはここにいる皆そう思ってるよ。あんた、本気で平凡なんだもん。向神家の人間だよね?」

「こら、アトリ。余計なこと言わない」

………平凡で何が悪い!!


「……あの! 本当に困っているんです! 私、今日は掃除をしなくちゃいけなくてですね!」

「掃除? オレ、手伝ってあげるよ」

「我も……」

「いいえ!! 結構でございます!」

「……あのね、何度も言うけど、君に拒否権はないの。あるのは選択権だけ」

「なんで私なんですか!!」
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