海に花、空に指先、地に霞
父と母が永遠を生きるようになって、最初は住み慣れたはずの家が、広くて静かで、何度も発狂しそうになった。
親戚のおばさんが、家を出てこっちにおいで、と何度も誘ってくれたけれど、それでもこの家から、離れられなかった。
泣きながら、泣きながら過ごしているうちに。
……次第に、慣れた。
ひどい話だけど。
一人での食事に、独り言に、一人で暮らすことに慣れてしまった。
ほんの少しの罪悪感を抱えて。