海に花、空に指先、地に霞
ベッドカバーだって柔らかなグレイの千鳥格子だし、落ち着いたウッド調のクローゼットの扉に合わせた机と回転本棚。あとはコンポがあるくらい。部屋の隅にぬいぐるみがいくつか。クッションだってぬいぐるみ調だし!
でもこれは…中学にあがるとき、母さんと一緒に模様替えしたものだから!
キリキリ苛立っていると、ポン、と宥めるように褐色の大きな手が、私の肩を叩く。
「花嫁殿…。アレはああゆう男だ。あまりまともに取り合わないほうがよい」
「…だって…森さん!!あの人、ひ、人のベッドに、は…はいり、込んで…!」
ギュッと森さんの服を掴んで、軽く揺さぶるように。がっしりとした体格を。
…背が高い人だなぁ。
私と20センチ以上は差がありそうだ。
凪世も背が高いと思ったけど、森さんはそれ以上。
「……沙杏さぁ、それって、シンを選ぶってこと?」
ベッドの上から、じとっと、こっちを睨む少年。
「はいぃ?!ち、違…!でもイチバン紳士だし!!あんたたちと違って!」
「わぁ、シン、可哀相。それって男として見られてないってことじゃない?」
「………そうなのか?花嫁殿」
途端に、森さんが悲しそうな顔で見下ろしてくる。
「ち、違…!いや、え?……ん?えっと……」
えと…。
これはなんて答えるべきだ?