海に花、空に指先、地に霞
「まさか、この三人に説教するとは…」
「いや~、すごい剣幕なんだもん。知らないとはいえさ。怖いものしらずだね、あんた。てか、自害ってなんだよ、時代劇? しかも店子扱いされるとはね~」
再びこらえきれなくなったように、天鳥が吹き出した。
せっかくちょっとだけ収まった腹の中のグツグツが、再び湧き起こってくる。
「…な、……!! 馬鹿にするのも…!!」
「……花嫁殿の意に従おう」
すっと、森さんが顔を上げて。
低い声で、賛同を示してくれた。
でも、今までかなり無表情というか、強面だった顔が…緩んでいる。
「わかった。無理強いはしないよ」
「適度にね」
「ぜ、絶対だからね! 破ったら、本当に本当に自害するから!!」
ようやく身の安全が保障されたと思って、束の間の喜びに浸った。
……振り返ってみれば。
なんで自分の身を守る方法が、自害なんだろう。
……私ばっかり、損しているように思えた。