海に花、空に指先、地に霞

掃除をしたり、DVDみたり、買い物に行ったり!
王様っていったら、煌びやかな宮殿に住んでいて、自分で着替えすらしたことなくて、っていうのがそうなんじゃないの?!

なんでこんな所帯じみているの?!

やっぱり私…騙された……!?

「騙してないよ」

ウグッとご飯を喉に詰まらせそうになった。あわてて、凪世がお茶を差し出してくれる。

「ほら、飲んで」

「な、なんで…わか…っッゲホ!」

「顔に全部出てるから」

「…わかりやすい女」

「ゴホッ…、う、るさ…グホッ…」

「落ち着かれよ」

「…今時はね。男でも料理できて当たり前。…沙杏ちゃん、あんまり上手じゃないでしょ。キッチン、あんまり使ってなさそうだし」

「あ、わかる。あんた、大味そうだよね」

「ちょっと! 決め付けないで!!」

「…花嫁殿は、家事が苦手か?」

「…森さん、その呼び方やめてくださいってば」

わいわい騒いで。
…というか、私が喚いて。

賑やかな、食卓。
4人で囲む、不思議な食卓。

…内緒だけど。

本当に……うれしかった。

誰かとご飯を食べるのは…楽しいから。

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