海に花、空に指先、地に霞
明日から学校だ。
制服にアイロンかけようかな。
料理は任せたとしても、後片付けくらいはちゃんとして。
食後に、お茶をすすりながら、のんびり寛いでいたとき。
ぼんやり明日から始まる新学期のことを考えていたとき。
テーブルの向かいに座っていた凪世が、ちょっとまじめな声で話しかけてきた。
凪世の横には森さんがいて、静かにお茶を飲んでいる。
「沙杏ちゃん、今後のことなんだけど」
「ふえ?」
「……忘れた? オレたち、花嫁獲得しにきてるんだけど」
ブハッとお茶を吐き出す。
目の前で、凪世が形のいい眉を歪めた。
……私の中では、花嫁争奪戦なんて、すっかり冗談になっていた。
なんだか奇妙な同居人が増えた、という程度の感覚だった。
途端に冷や汗が噴きだす。