海に花、空に指先、地に霞
ちなみに。
あれほど声高に自害宣言までしたものの。
相部屋となった凪世と天鳥が何かしらで喧嘩するので、仕方なく2階立ち入り禁止令は解いた。
今、凪世は私の隣部屋を使っている。
もちろん、自室立ち入り厳禁令は、いまだ発令中だ。
私が吹きこぼしたお茶を丁寧に拭きながら、凪世がニッコリと微笑んだ。
美形の笑顔は…なんだかとても迫力がある。
私は冷や汗ダクダクだ。
「ちょっと慣れて、落ちついてきたよね? これから、なるべく接触していくから」
確かに…!
あの日以来、極端なセクハラがなくなって、少しだけ気分が落ち着き始めたけど…!
「や、やだ!!」
「却下。このままズルズル仲良し同居人じゃ困んだ。こっちも国あけてきてるし」
「く、…国?!」
「そうそう、結構リスク背負ってきてるんだよね」
食事をそうそうに終えた天鳥は、リビングのソファに寝そべりながら、ダイニングテーブルに座っている私たちに向かって声を張る。