海に花、空に指先、地に霞

凪世も森さんも、うんうんって頷く。

凪世が私を見据えて、再びニッコリ笑う。

「で。こっちで話し合って決めたんだけど。まずはオレからね」

「…な、…何が?!」

「何って…そりゃ、いろいろ」

ニヤリと凪世が妖艶に微笑んだ。

私は真っ青になって、断固拒否の意思を示す。

「絶対いや!!」

「うそだよ。お互いのことをよく知りましょうっていう試み。正直、オレたちだって君のことよく知らないし。君もオレたちを知らない。それだと誰も選べないだろ? で、こっちとしても、牽制しあったりっていうやり取りは時間のロスだから」

…………。

…時間の、ロス……?

その言葉で、ピンときた。
今までもずっとずっと感じていた。

なんとなく、収まりが悪い感覚。

それは、突然押しかけられて、セクハラ三昧だったことに対しての、非現実な現実のせいだとも思うけれど。

非現実を、現実に行おうとしている、彼らに対する違和感だとも思うけれど。



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