海に花、空に指先、地に霞



静かだけど、今までで一番、強い拒否の言葉だったと思う。

多分……表情も。


「…拒否権はないって、何度も言ったろ?」


穏やかな…凪世が。
ずっとずっと穏やかだった人の声が。

……俄かに、苛立ちを孕んだ。


少しだけ怯む。

でも。

…でも…!


「誰も選ばない!!」


「沙杏!」

凪世の硬い声に、ビクリと体が無様に揺れた。

途端に涙が膨れ上がる。


「……ナギセ。怒鳴るな」

横から静かに森さんが凪世を諫めるけれど。
遮って牙を剥いたのは、私。

「ぜ、……絶対に、イヤ!……誰も、選ばない……!! あんたたちとなんか、……結婚なんかしない!」

完全にもう、涙目だ。
親に叱られた子どもみたいで、情けない。

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