海に花、空に指先、地に霞
「………何を怒っている?」
森さんが、訝しげに私を見て、宥めようとした。
「あ、当たり前じゃない!! 花嫁とか結婚とか! わけわかんないって最初っから言ってるのに!」
「花嫁殿がいないと、世界の均衡が崩れる…」
「そんなの! 勝手にどうとでもなればいい!! 環境破壊なんて、今更どうしたっていうの! 馬鹿みたい!!」
一息で言い切って、肩で息をする。
我慢していた涙もこぼれた。
でも。
すっと青ざめるように、顔色を変えた二人の男が、目の前にいた。
…その青さが、怒りのためだと気がついたのは。
真横から延びた手に、ペチンと、頭を叩かれたからだ。
叩かれた頭を押さえて、顔を横に向けると。
すごく不機嫌な顔をした天鳥が、いて。
「………あ、とり…?」
「…言いすぎ。こっちは結構苦労してんの。これでもさ」
そういって、背を向けてリビングから出て行く。