海に花、空に指先、地に霞
カラカラと玄関の引き戸の開閉音がしたから、きっと、外へ。
目の前の二人の王たちも、席を立った。
再び、玄関の音。
…なんで、そんなところまで普通なんだろう、とぼんやり思った。
喧嘩して、家を出て行くなんて。
だって………みんな、普通だったじゃない…。
普通に、この家にいたじゃない…。
王様とか、そんな素振り…少しも見せなかったじゃない。
「そんなの…、知らないもん……」
王様とか国とか花嫁とか。
でも。
今まで、ちゃんとした話を、一切聞こうとしなかったのは私だと、ようやく気がついた。