海に花、空に指先、地に霞

カラカラと玄関の引き戸の開閉音がしたから、きっと、外へ。

目の前の二人の王たちも、席を立った。

再び、玄関の音。


…なんで、そんなところまで普通なんだろう、とぼんやり思った。
喧嘩して、家を出て行くなんて。

だって………みんな、普通だったじゃない…。
普通に、この家にいたじゃない…。


王様とか、そんな素振り…少しも見せなかったじゃない。


「そんなの…、知らないもん……」


王様とか国とか花嫁とか。





でも。

今まで、ちゃんとした話を、一切聞こうとしなかったのは私だと、ようやく気がついた。

< 48 / 164 >

この作品をシェア

pagetop