海に花、空に指先、地に霞


切れかけの電灯がパカパカしているし、暗いからよく見えない。

でもなんか、黒い太い紐みたいなのが…足に巻きついている。

ロープ?



………やだ、蛇?!


その単語が脳に浮かんだ途端、声にならない悲鳴が漏れた。

発狂しそうになりながら、足をぶんぶん振る。

ひぃ……!!
蛇、キライ!!!


…でも少しも離れない。
どれだけ振りほどこうとしても。

「ちょ、ちょ…!やだやだ!! やだってば! 離れてよ!」

でも、素手で蛇は触りたくない。
必死で足を動かす。
手でも必死。
棒切れか何かがないかと、地面の上をバタバタ探す。

その黒い紐みたいな、ロープみたいな、蛇みたいなのは、足に巻きついて、どんどん上ってくる。

足首から、膝を超えて……太ももまで。


そこまでくると、ようやく視覚で確認できた。

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