海に花、空に指先、地に霞




なんで。
……怒ってたんじゃ、ないの……?

なんで……皆、いるの…?




途端に視界が霞んだ。


端道で、恥ずかしいけれど。
火がついたように、子どもみたいに、嗚咽を漏らして。
涙がぼろぼろ落ちる。


「う、…っく……、…ご、…ごめんなさぁい………」

「…沙杏ちゃん?」


「ごめんな、さい……」



今、何に襲われたのか。
さっき、凪世が何をしたのか。
今までみんながどこにいたのか。

何で怒らせたのかとか。

相変わらず、何にも分からなかったけど。



とりあえず。
出てきたのは、涙とごめんなさいだけ。


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