海に花、空に指先、地に霞

…それでようやく、解放された。
オマケとばかりに離される直前に、口唇を舐められて。

「……せ、クハラ…!!!」

息絶え絶えになりながら、一応抗議の姿勢を示した。

凪世が、静かに微笑む。
頬に残る涙の跡を指先でなぞられて。

「探しに」

「……は?」

「探しに、来てくれたんだろ?だから、これはお礼」

ニッコリと…本当に綺麗に笑う。
目尻に微かに浮かぶ笑い皺が、やたら艶っぽいのはなんでだろう…。

真っ赤になって俯く。



………翻弄されている。



彼らは平然と。
…怒った顔なんて、微塵も見せない。

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