海に花、空に指先、地に霞
絶対の均衡を保つ義務。
その義務の意味は遥か昔の恋物語から始まった。
…花嫁の存在も。
遥か遥か昔。
向神家は…神の言葉を降ろす家系だったそうだ。とくに若い娘にそれは顕れた。
神の声に愛された娘は、神の子として、人々から崇められていた。
明るく、曇りのない心を持った美しい娘だったそうだ。
いるだけで周囲を幸福にする至高の娘。
神に愛された格別の娘。
だけど、ある日。
偶然地上に降りてきた空の王と出会い、恋に落ちた…。